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2011年1月14日金曜日

解釈。

大学時代に読んだ何かに書いてあったことを、よく思い出す。

「この世には、現実というものは存在しない。
あるとするなら、各個人のフィルターを通した解釈があるだけだ。
例えば、コップに水が半分入っている。という同じ状態をみて、
もう半分しかない。と思うか、まだ半分もある。と思うか、は受け手の解釈によるものである。
目に映った時点で、各個人に解釈されたものが現実として記憶される。」というようなこと。

自分が「現実」として記憶していることは、
実は他人からすると全く違う「現実」になるのかもしれないなぁ。
と、「おもしろいもんだなぁ」としみじみ感じた。


この正月にドミトリーに滞在した間、本を読みあさった。
今回は、アフリカ、ケニア関連の本が多かった。
古いものは40年前に書かれているものから、2~3年前に書かれているものまで、
何人もの「解釈」によって書かれているどのケニアも、現在のケニアと全く変わらない印象だった。
驚くほど昔の1899年に鉄道が開通し、1906年にナイロビ市内の高層ビルが建設されたとあるが、その後100年余りまるで発展していないケニア。

先日、アフリカで十数年働いている日本人の専門家さんと話す機会に恵まれた。
その専門家さんは、こんな話をしてくださった。

「援助する側は、最初から全てわかっているんだ。
アフリカには肥沃な大地も、豊富な資源も、能力もパワーもある人材も、ちゃんとある。
そして、そんな中で彼ら自身が“自分たちだけでも出来るぞ”と目覚めてしまったとき、
さらなる可能性に気づいてしまったときに、
援助する側と援助される側の立場は簡単に逆転してしまうこともわかっている。
だから、援助する側の本当の狙いは、その立場が逆転しないように、
出来るだけ長い間、根本的な解決に繋がらないような援助を続けていくことなんだよ。」と。

これを聞いたとき、妙に納得してしまった。
自分の目の前の「現実」が、長年の援助の末の姿だとしたら、その狙いはズバリ的中しているからだ。
なんて罪深いことだろう。
そういったお金や物資がないと動かない人々を生み出す援助の仕方について、自分の思うところを以前書いたが(過去ブログ「援助。」)、それと同じ「現実」が「解釈」の違いによってまた別の問題を浮き彫りにしている。

そして、その人はこう続けてくれた。

「だから、僕のプロジェクトの狙いはアフリカが本来持っている力を引き出すきっかけを作ること。
とにかく、彼ら自身が自分たちの豊かさに気付き、自信を持ち、向上心をもち、
さらに可能性を広げていこうとする手助けをすることだ。
とにかく、アフリカから世界を変える。

その瞳は、真剣そのものだった。

世界を語る人が目の前にいる。
その他にも色んな話を聞かせてもらい、とにかくこの人に会えてよかったと思った。

長年眠らされたアフリカが、目覚める。
自分たちの力で走りだす。
おもしろい!

そうして今私たちは、来たる2月上旬に向けて、エイズ対策隊員による、各配属先スタッフ(ケニア人)を対象にした「Mindset Change」(思考様式心理状態暗黙の了解事項、思い込み価値観、信念、を変える)と名づけたワークショップを企画している。

講師にはその専門家さんと、
アフリカ最大のコンサルタント会社の社長
兼 タンザニア大統領顧問
兼 マネジメント学教授
という、すごすぎる肩書きをもつカリスマ・タンザニア人をお迎えすることになっている。

12月から始まった運営準備もいよいよ大詰めを迎えた。

この模様は、また追って報告したい。

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