2011年1月30日日曜日

母の選択。

HIV陽性者の母親から産まれてくる子供は、100%HIV陽性者になるか?


答えは、NO。

AIDSとは後天性免疫不全症候群のことである。
先天性ではない。
分娩時の出血、授乳においてのみHIV感染の危険性がある。

日本では投薬治療と帝王切開と粉ミルクにより、HIV母子感染の確率は死産の確率を下回る。

ケニアでは帝王切開のできる環境を得ることさえ難しい。
また、清潔な水を手に入れることが難しい環境では、
粉ミルクに使用される水により感染症や病気になって死ぬ確率の方がHIVに感染して死ぬよりも高い。
そのため子供に免疫力をつけるために、
病院側も母親に生後6ヶ月は母乳で育てることを推奨している。

 そして現在ケニアでは、HIVに感染した幼児の2人に1人が死亡する。
HIVに感染した幼児の50%が短い人生を終える。


それでも、ケニアの母親は産む。

「陽性者でもHIV感染確率を最小にして子供を産むことができる。」

その方法を知ってか知らずか。

陽性者である自分の経験を踏まえてのことなのかどうなのか。

夫との綿密なる家族計画の結果なのかどうなのか。


生後6ヶ月の子供をつれてHIV検査に来る母親をみて、

とてもかわいい顔をしてスヤスヤと眠る子供をみて、

彼女たちに子供を産まない前の「子供をつくらない」・「拒否」という選択肢があったのだろうか。

と、考える。


自分の妻に、自分の子供を多く産ましてなんぼのケニアの男性社会。

男の性欲を満たすための対象として女性がいる。その印象があることは否めない。

病院内の同僚を見ても、シングルマザーの占める割合の高さに驚く。


そして、夫の希望、夫の家族の希望で、自分の意思に反して産まねばならない状況がある。



女性が自分の人生を選択することが難しい。


この環境の中で、HIVの新規感染者を減らすためにできることとは何だろうか。

HIV/AIDSを取り巻く問題は複雑である。

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