「血液・唾液・精液・膣分泌液・母乳」
日頃、学校巡回をしていると100%の確率で子供たちは感染源の一つとして「唾液」をあげてくる。
結論からいうと、唾液は感染源ではない。
「キスは感染する?」との質問には、ほとんどの生徒がNOと答えるが、
「んじゃ、ディープキスは?」と質問すると、ほぼ全員がYESに手を挙げる。
実際には3~5リットルの唾液に加え、
口腔内が何らかの炎症を起こしていないとHIV感染は起こらない。
この説明を付け加えると、授業後に教員から「本当に唾液は感染源にはならないのか?」と質問を受けることもある。
教科書を持ってきて「ほらここに唾液も危険って書いてあるだろう?」と。
確かにそう書いてある。
怖いのは間違った知識がさらなる偏見や差別を生みだしてしまうこと。
今回の会議でケニア国家エイズ対策にかかわっているJICA専門家から今後の動向を聞くことができた。
「新規感染者を増やさないことがまず第一。」
そう聞くと私の場合、
職業柄なのか真っ先に「学校での予防教育の充実」が浮かぶ。
そこで、
「小学校で使われている教科書のエイズの部分は保健省などの専門家の監修が入ってますか?」
と以前から抱いていた質問をした。
教科書のエイズの部分にはエイズ国家対策は関与していないし、
学校エイズ教育のための教員の研修もない。
そもそも教育は教育省の管轄だからということだった。
これは実際に現場にいる隊員にはよくわかる話で、
任地の保健省、公衆衛生省、教育省、ユース&スポーツ省、ジェンダー省、などなど
細分化している省庁はまったく目的も情報も共有していないことがよくわかるし、
お互いのことに全く協力的でない。
その橋渡しのために何も外国からきたボランティアがその間を奔走しなくとも、
お偉いさんたちの会議一つで済んでしまうことはたーーっくさんある。
NGOも保健省もHIV教育となると学校巡回のための資金不足、
ファシリテーターの人材育成トレーニングの実施などに頭を抱える。
小学校の就学率が90%を超えるケニア。
しかし、予防対策の中に、不思議なくらい学校教育が入ってこないのである。
教師こそ子供たちにとって最高のファシリテーターであることに気付いていない。
HAPAでの専門家との話し合いの感触として、その取り組みはまだまだ先のように思えたが、
活動の最後には配属先に提案してみようと思う。
*おまけ*
ケニアの某NGOが発行しているエイズ教育の指導書には、
HIV感染における最も危険な行為の中に「外国人とのセックス」と書かれている。
アフリカにいる場合の外国人とは、だれのことを指すのだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿