2011年10月13日木曜日

セカンドストーリー。

男には別れた妻がいた。

いつものように友人と近くのバーで飲んだくれていたその夜、

別れて以来、1年以上会っていない元妻と偶然再会した。

その日彼女を抱くつもりはなかったが、「朝まで一緒にいたい。」という彼女の誘いに乗り共に家路に着いた。

男には彼女との間につくった2人の子供がいるが、

彼女とのセックスでコンドームを使ったことは今まで一度もなかった。

帰って2人きりの部屋で、彼女が「それ、何つけてるの?」と男に聞いてきた。

指先にあった男の左胸には胸に刻印されるかのようにして貼られたシールがあった。

『GO VCT』と書いてある。

そういえばその夜、彼女と再会する数時間前に店でポスターを貼りに来ていた市議員とムズング(白人)に会ったことを男は思い出した。

それは「コンドームを使え!」だの「自分のステイタスを知れ!」だの言っていたムズングが力強く貼ってくれたシールだった。

このシールに込められているメッセージを男は復唱した。

結局その夜、男は彼女を抱かなかった。

その変わりに別れる間際には話せなかった色んなことを彼女と朝まで語り合った。


翌日、男は彼女と共に初めてVCTに行った。

HIV検査の結果、 ------ 男は〈陰性〉、彼女は〈陽性〉だった。


ムズングが俺を救ってくれたんだ。 ----- 男はそう思った。

すぐに会ってお礼を言いたかったが、どこにいるのか知らない。

男は、その夜ムズングと一緒にいた市議員の事務所に行きその出来事を話した。

泣きながら話す男の胸には、まだ『GO VCT』と書いたシールが貼ってあった。


検査の結果〈陽性〉だった元妻は、HIVの治療のため診療所に通い始めた。

そして男は同居している両親と叔母、そして息子と娘をまとめてHIV検査に連れて行った。

自分の大切な人々の人生を、今度は自分が守らなければと思ったのだ。

幸いなことに、彼らはみんな〈陰性〉だった。


You saved his life.

「あなたの行動が、彼の人生を救ったのよ。」

私がナイバシャにいなかった先週、こんなことがあったとエスタ(市議員)が教えてくれた。

ひと晩だけやった夜の活動で、『GO VCT』のシールを貼ったのは、ただ一人だけ。

あの男だ。

「ポスターが欲しい欲しい」とあまりにしつこかったので、やや切れ気味に胸にグリグリと食い込ませて貼ったシールだった。(過去ブログ「クラブ&バー巡り」参照、写真右の男性)

彼はこの先コンドームを必ず使うだろう。

そんな気がして、本当にうれしかった。

8 件のコメント:

Beautiful さんのコメント...

その話やばいくらい嬉しいの~
ガッツマテリアルさまさま。ズキンちゃん&シママンさまさまですの~

minato さんのコメント...

ただただ、単純にすごーって思いましたー

MIHARU さんのコメント...

>Beau・・・てかマリちゃん
 シアヤでもきっと似たようなことが起こってるはず。
 一人になったときに余韻として残るメッセージ。
 まだまだ、改善していこう!

MIHARU さんのコメント...

>みなちゃん
 そうなのよ~。ただただジュワ~っと心に染みました。
 実際に行動した男の人がスゴイ!

Sachiko Hasegawa さんのコメント...

ひや~。最後まで読んでなんか感動しちゃった・・。それに、勇気もらったわ。

MIHARU さんのコメント...

>さっちゃん
 こんなことがあるんだねぇ。って、私もびっくりしたわ。
 活動しておきながら、自分がケニアの人たちを信じていないのかも?って思いました。
 こうなったら、みんなの胸にめり込ませようかと 笑

くぼ さんのコメント...

おひさしぶりです。なんか、いろいろと考えさせられる話ですね…。

MIHARU さんのコメント...

>くぼちゃん
 本当に色々色々色々・・・、考えさせられる日々です。
 頭でっかちになりすぎてもいけないんだけどねぇ。