だるまのようにぐでんぐでんに転がされて
「七転八倒」で終わるか。
「七転八起」で終わるか。
一寸先がわからない一日の連続だった一週間。
月曜日。デフォルター患者リストのデータ整理。
どのようなフォーマットで、どのようにソートして、何を書き込めるようにしておくと、誰にとっても今後活用しやすくなるのかをPCの前でひたすら考えて作業した。あれこれ想定して手を加えていく作業は、学校にいたときからとにかく好きである。しかも、今まで存在していなかったものとなれば、とても楽しい作業だった。
火曜日。今後に向けての患者データ管理のシステム改善について、あれこれつたない英語とスワヒリで代表ナースに提案している私の意見を汲み取って、周りの同僚たちが代弁して私の伝えたい内容を代表に説明してくれた。これは、もう言葉を越えた瞬間で、本当にうれしかった。
水曜日。ついにリストのプリントアウト。
対象を1年以内の患者に絞り、真っ先にセンターの代表ナースに渡した。なんだかんだで、とにかく完成を待ちわびてくれていたらしい。私が残った作業をしている間に、「MIHARUがコレを作ったのよ!」と、色んな人に完成リストを見せに行ったみたいで、事務所から一歩出ると多くの人から「グッジョブ!」を越えた「エクセレント!!」という褒め言葉をいただいた。
これももう、素直にうれしかった。
木曜日。久々に血圧測定の補助。
同時に進めていたポスター制作のスワヒリ訳を知り合った翻訳家が完成させて持って来てくれた。
金曜日。
朝一番にMIHARUも来るようにと、近くの教会で地域のHIVケア活動をする人たちとの会議に連れて行かれた。いってみると、そこには100~120人程の人々が集まっていた。約1時間かけて全員が自己紹介。されてもいない期待に応えようとしすぎるあまりに、いつも大嫌いな自己紹介であるが、スワヒリ語というだけでハードルが下がり、驚くほど緊張せずにこなす事ができた。
「次は、皆さんお待ちかね中国人の彼女の番です!」
と話したこともない司会者に紹介されつつ・・・
「レディース&ジェントルメン!ご機嫌はいかが!?私は、ミハル・ワンジコ(この地域に多い名前)といいます。私のことは、MIHARUと呼んでください。せ~ので呼んでみましょう。なかなかいい感じですよ皆さん。私はJICAのボランティアでエイズ対策隊員です。中国人ではなく日本人です。この近くの県立病院で2年間働きます。動物の肉が最高に好きです。皆さんにお会いできてうれしいです。どうも、ご清聴ありがとうございました。」とあいさつが終了。
片言のスワヒリ語は大ウケで、自分で言うのもなんだが狙ったところで笑いもしっかりとり、最後は大きな拍手までいただいた。今までなかった質問もいきなり飛び出し、お決まりの「子供はいるのか?」と「結婚しているのか?」を全員の前で聞かれた。エイズと全く関係のない事で「なんのこっちゃ。」と思いながらも、力強く「Bado!!(まだ!!)」と答えたら、これ以上ない大歓声が上がった。
そして、この会議のためにリストを作ってきたのかと思ってしまう程とてもタイムリーに、一緒に行ったナースが私の作ったリストを手に、全体に対して現在のデフォルターの状況と協力を仰いだ。
また「このリストをまとめたMIHARUに拍手を!」と、私のことを改めて紹介してくれた。
その時のナースの誇らしげな顔を見たとき、本当にやってよかったっ!!と心から思った。
そして、病院に帰ると、本当にいつも忙しそうなカウンターパートが1人で事務所にいた。たわいもない話から、モデル病院の見学へのアポイントまでとってもらい、とにかく楽しい1時間だった。
そして、今、帰ってきてから久々のビールを飲んでいる。
・・・・、大変よい1週間だとお思いでしょう。
以上が、今週のだるまの「起」の部分だけを全て集めたものです。
いや~~~~~、本当に、この裏に数え切れないほどの「倒」があった今週。
大きいものから小さいものまで倒、倒、倒、倒、とうっ・・・・・。
その中で、ある打開策を習得した1週間。
間単に言うと「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」作戦。
ケニア人と約束を交わすときは、もう「明日」となった時点で即あきらめる。
彼らは全くやる気がないのではなく、やる気がある時とない時の差がありすぎるのである。
どれ程の差かというと「551の豚マンがある時とない時のナルミちゃん」くらい差があると思っていただければいい。(関西地方限定)
なので、どんな些細な事でも「明日だったら・・・。」といわれた時点で、他にも頼れそうなところに迷わずお願いに行く。日本と違って、先に頼んだ人と、後に頼んだ人同志がバッティングする心配はない。こちらから、「昨日のあの件だけどね・・・」と持ち掛けない限り、それらは全くなかった事として過ぎていく。
内容によっては、頼みにいく人の役職なども考慮する必要があるが、とにかく今まで交流のある人、手当たり次第でいい。どの人が「今日の今、その瞬間」やる気のある状態なのか、聞いてみないと分らないからだ。やる気があるというよりも、「やる気がなくはない状態」という方が、しっくりくるかもしれない。
その「やる気がなくはない状態」に当たりさえすれば、その場ですぐに片付くことが多い。
それはもう、本当にあっけないほどに。
例を出せば、水曜日のプリントアウトですら最初、一番頼りにしているカウンターパートに「経費がないから、14枚も一度に印刷できないわ。来月に経費が下りてきたらね。」といわれてしまった所から始まっている。
正直、これにはかなりヘコんだ。
既に印刷された他の多くの書類に囲まれながら「重要なはずのこのデータを?なぜ??」と、もう本当に納得がいかなかったが、すぐに切り替えて違う人、違う部署、違うプリンターを手当たり次第探して、6度目のトライで何とかプリントアウトにこぎつけた。
そして、そこではいとも簡単に14枚の4部分に当たる56枚の印刷に成功した。
いつも、心がけているのは出来る限り「起」の状態で家に帰ること。
ヘコんだままいても何も始まらないし、「倒」のまま家に帰って夜を過ごしたくないものある。
今回の印刷に関しては、自分で金を払ってすることも出来るが、それは自己完結で、簡単で、一度やってしまうと最後までやり続ける事になる。
とにかくケニア人の誰かを頼って、やってもらった後の、苦労した末の感動も含めた感謝の気持ちを全力で相手に伝えることが、次に繋がる気がしてる。
日本で私が魅力を感じた人物は、周りを巻き込むのが得意で「あの人に頼まれると断れないよねぇ。」と、理由なしでみんながなぜか協力したくなる人物で、気がつくと周りにいつから一緒になったかもわからない同志がいっぱいいて、何かを達成したときに大勢で笑える人物だという共通点を持っていたように思う。
ケニアで同志を作ること。
ケニア人の同志を作ること。
に繋がるものにしたい。
来週は、直接リストに載っている患者に連絡をとってくれるCHW(コミュニティーヘルスワーカー)の会議に参加する予定。
今週末は、家でのんびりしたい。
非常に長くなってしまいましたが、読んでくださりありがとう。
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