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2010年11月26日金曜日

ライバル。

先週、ナイバシャ県内にある約60の医療機関を監督している私のCP(カウンターパート)に、
「県下で一番のHIV/AIDSケアサービスを行っているところはどの施設ですか?」
と聞いたところ、
「それはAIC Kijabe Hospitalよ!HIVだけでなく、全てのケアが一番よ!」
と、即答の上に絶賛していただいた。
あまりの即答ぶりに、その施設がうちの県立病院のCCCではないという事実をCPも認めているのかぁ。という哀しい現実を受け止めながら、ならば行くべし!ということで早速その施設を見学にいってきた。

町の中心からマタツに乗ること15分、田舎の中にポツンとある施設を目指して歩くこと20分。
到着してみると、とにかく衝撃の連続。
シ・セ・ツ・ガ・キ・レ・イ・ス・ギ・ル。
コ・コ・ハ・ナ・イ・バ・シ・ャ・カ・・・。

受付も廊下も、まるで日本の病院そのものの清潔感。
広々とした待合室にテレビが備え付けてあり、どの部屋にも丈夫な屋根と壁とドアがあった。
今日はHIV患者に関わる業務を重点的に見るということで、まずは受付の部屋に入る。
カルテはラベルが貼られてきれいに整理されているし、患者に対応する笑顔も態度も、データ管理システムも文句の言いようがない。私が2週間かけて集めたデフォルターの情報も、そのデータ管理システムを使えばボタンひとつで終了してしまう作業だった。その日ごとに来院する予定の患者をリストアップして、来なかったその日に即トレーシング(追跡)が開始されるシステムも既に確立されている。
欲しているものが、形になって目の前にあるという感覚だった。

様々なことに対して、自分でも驚くほどあふれ出る質問の数。とにかく自分の病院を改善できる部分はないだろうかと、情報やアイデアを欲している。

聞いてみると、このデータ管理システムはアメリカの団体が作ったとのこと。
この病院のほかにも多くの病院で既に導入されているソフトらしい。
「こんな便利なソフト、うちの県立病院にはないけど、なぜ?」
と不思議がる私に、担当者がひとこと

「ケニア政府下(公立)の病院だからよ。」

との答えだった。
お役所か・・・。

確かにここの病院は、病院名にもあるとおり「AIC=Africa Inland Church」アフリカのキリスト教団を母体とする団体の大きな支援があって成り立っている病院である。そして、それに加えてアメリカの大きな支援。
先進国の技術や体制がそのままの形で導入されている病院。
無駄がなく、単純に、素晴らしかった。

何よりキレイに整備されている環境の中で、自分たちの病院に誇りを持ち、プライドを持って働いている多くのケニア人に会えたことが一番の収穫だった。

環境が作る人格というのは、やはりある。

「チャイの時間はとりますか?」「ランチは何時から何時までですか?」
こういった質問もした。
「チャイは合間にとりますが、ランチは摂りません。」
という答えだった。

この病院を、勝手にライバルと位置づけた。

帰りのマタツであれこれ考えながら、私の勤務先ナイバシャ県立病院にもどる。

そこには、ソリティアをやる人々と、楽しくおしゃべりする人々、待っている患者、
そしてケニア政府の公衆衛生省から出されているドデカイ月間帳面(5種類程ある)に本日分の患者の名前や性別や年齢やNoや生年月日や各帳面別のデータをPC画面上からせっせと手書きで写している(この意味の無い作業・・・)受付1名がいるという、いつと変わらない風景があった。

やっぱり、ここが一番落ち着くな~~~~~。


ってなるわけ、ないよね。


とりあえず、今度は施設の壁の色でも変えてみるか。

と、今日は帰りにペンキの値段を確認してから家に帰った。


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