2011年3月31日木曜日

コンドーム。

「性行為を行う際にコンドームの使用することは、最低限の予防法です。

 HIVを含む性感染症に関しても、望まない妊娠に関しても。」

日本で保健体育の教師として8年間、保健の授業を通して生徒に話してきたことである。


今から8ヶ月前に初めて任地訪問でうちのセンターに来た時、半日HIV陽性患者への診察を見学した。

HIV陽性の患者さんたちが診察の最後に、希望するだけ無料配布のコンドームを持って帰る。

30~50歳くらいのおばさんたち。(たまたま私が見たときは若者はいなかった)

ガサッと両手で30個ほど、ポケットに忍ばせた黒いビニール袋に一気に詰め込む。

その遠慮のなさと、希望するコンドームの量の多さに驚いた。

HIV陽性者は性行為をしてはいけない、というわけでは決してないので、

とても語弊のある言い方だが、

「HIV陽性者なのにやる気満々じゃねえか。」と思ってしまった。


冒頭で述べた「コンドームは最低限の予防法」という言葉が、この行為にも当てはまる。

HIV陽性者の人々にとっては、HIVを他の人に感染させないための手段としてあるコンドーム。

ゴム一枚の向こう側に、HIV感染源として最も危険性の高い精液か膣分泌液がある。

「コンドームってすごいんやな。」と、しみじみ感じた。




昨日紹介したソフィは現在メルーという町で、 Discordant(カップルや夫婦間で片方がHIV陽性、片方がHIV陰性)の調査をしている。

現在12組のDiscordantカップルに定期的にインタビューを行ったり、治療に向けてのアドバイスなどを行ってその実態調査の結果をまとめている。

そのカップルたちでさえもなかなかコンドームを使用しないらしいとのこと。

片方がHIV陽性者だと分かっていてさえも。


そんな人たちに、これ以上予防について言及する必要はあるのか。

彼ら自身でHIV感染確率の高い方を選択しているのだ。


HIVに感染するということは、その人たちにとってなんなんだろうか。

私たちが海外からわざわざきて防止する程のものなんだろうか。と、頭が痛くなる。


ならHIV感染したときに海外援助の無料治療や無料治療薬に頼るなよな。と、思ってしまう。


しかし、感情にまかせて腹を立てていてもしょうがない。

そのカップルや夫婦から産まれてくるかもしれない新しい命には全くその責任はないのだから。


新規感染者を一人でも多く生み出さないために。
今までも、これからも、それでも予防教育を地道にやっていくしかない。

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