2010年10月8日金曜日

いい子。

いつも頭の中で渦巻いて、整理が付かずブログに書けていないことが割とある。
仕事がない時間帯、身体は止まっていても、頭は自分の思考をどこに着地させようかとグルグルぐるぐる回っている。そろそろ、わからないままの、ありのままのことも書いてみようと思う。
これ以上考えても、結論は出ないことかもしれないから。

私の働くセンターには、陽性の母親から生まれた子供たちも多くやってくる。
既に陽性と判明している子供もいれば、生まれてきてわずか1週間でまだHIV検査をしていない子供もいる。3~5歳の子供になると陽性者の子供の人数はぐっと増える。
毎週水曜日には、まだ検査をしたことがない幼児の足の踵から5滴の血液を採取し検査所に持っていくという作業が入る。
今まで母親に抱かれながら、泣き叫ぶ子供たちを何人も見てきた。

そして、今日も幼児が診察にやってきた。
深刻な水分の不足で手も足も皮膚がゆるみ、栄養失調のためお腹が膨らんでいる。
2歳で体重が4キロもない。
人手が足りない午後の時間帯。
早速私も手袋をはめて体温の測定と点滴用チューブを手の甲から差し込む作業の補助をした。

じっと私を見つめる子供の大きな目。
息づかいは荒く、私の指を握る反対側の手からは高体温が伝わってくる。

医者の説明を聞きながら終始元気のない母親。
もう幼児を見守る元気もないほど疲れている。

手の甲から針付きのチューブが差し込まれる。
相当痛いことには違いない。
「ウウッ・・・」
と、泣きそうになったのを絶えたようにして、
その子供は泣かずにまだ私の顔をじーっと見ていた。

「とてもいい子ね。泣かないもんね。おりこうさんだね!(^0^)」

スワヒリ語でしっかり母親にも聞こえるように大きめの声で子供に言った。
しかし、予想した母親の笑顔はそこになかった。

診察の終盤、子供が白目をむいた。
すぐに、みんなが身体をゆすった。
生きていることを確認したのだ。

手につけられたチューブは手の甲に固定され、小児科病棟への入院が決まったその子供はこれからそのチューブを通して投薬と栄養を補給する。

実は最近、午後の空き時間に小児科病棟に行くことが多々ある。
うちのセンターの栄養士に付いて行き仕事を手伝う。
牛乳に砂糖とサラダ油を混ぜて調合したミルクを、栄養失調の子供に飲ませる。
2段階あるそのミルクの配分はもう完璧に覚えてしまうほど通っている。

2週間前、初めて小児科病棟にいってミルクを作った。
その次の日の朝、栄養士の出勤がいつもより遅かった。
「昨日MIHARUがミルクをあげた子のうちの一人が、今朝亡くなったの。
 そのベットの後片付けをしていたのよ。」
原因は、栄養失調による衰弱死。
それ以上のことは、何も聞けなかった。

その時亡くなった子供と今日新たに入院が決まった子供の症状は今の所同じである。
病院に来られる子、来られない子。
救える命とは、一体どの命か。
無事退院できたとしても、この子達はどんな環境に戻っていくのだろうか。

今日の帰り際、診察で一緒だった同僚が教えてくれた。
「MIHARU、今日のあの子ね。[いい子]だから泣かなかったんじゃないのよ。
 衰弱してエネルギーがないから、泣きたくても泣けなかったのよ。」

その瞬間、自分がよかれと思って発していた言葉が、
ずしりと重くのしかかり倒れそうになった。
なんてことを言ってしまったんだろう。
私の手を握りしめ、私の目をずっと見つめていたあの子は、
私に何を伝えていたんだろう。
それなのに、何にも気付けなかった。

お母さんにも、子供にも、
「ごめんなさい」が止まらない。

「子供は元気」なものでない。
「気合い」ではどうにもならない。
ここは、学校でないことをまた痛感した。


2 件のコメント:

sari-j さんのコメント...

あなたが居るところは命の現場。

命がある。
生きていることに、心から感謝をせねば、と思いました。

さまざまなことを感じとり、
あなたは人としてさらに大きくなるのだろうね。

健闘を祈ります。

MIHARU さんのコメント...

>sari-jさん

心強いコメントありがとう。
まとまりのない文章だけに、色んなことを感じてもらえたらなぁ。
と思います。

健闘できるように頑張るね!