2011年7月17日日曜日

処女規範とコンドーム使用率。



ケニアの性教育はプライマリーからセカンダリー(日本の小学生から高校生)まで


一貫して『ABSTAIN:禁欲』を叩き込む。






どの学校の生徒たちも性教育&HIV予防教育といえば反射的に『ABSTAIN』と答える。


いつの場合もそれこそが正解であり、それ以上について考えることはない。






よって、


なぜ『ABSTAIN』しないといけないの?


『ABSTAIN』出来ない場合はどうするの?






となると、今までそれを考える機会を与えられてこなかった生徒たちは一気に戸惑う。


 


初性交年齢が低く、新規HIV感染率が再び増加しているケニアにおいて、


現実としていかに『ABSTAIN』することが難しいかを考える機会が教育現場にない。


大前提として結婚後に認められている性交なのだから、コンドームの使用法を学校で教えることは許可されない。






途中退学者がどの地域でもあふれているケニア。

その理由は様々だが、生理期間に学校に通えずそのまま退学後、妊娠、出産に繋がるケースも少なくない。


そして、生徒たちはそういった現実を知らないわけではなく、むしろよく知っている。






それに加え垣間見えてくる大人の世界は、浮気や不倫、虐待などの誤った性情報ばかり。






現実社会で活かせる正しい性行動につながる性教育が理想的なのだけど、






生徒たちのなかで『教室で叩き込まれる性』と『現実社会の性』は全く別のものとして存在している。














そんなことを実感した今回のキャラバンで、

日本国内で受けたエイズ補完研修で紹介されたある調査データを思い出した。






それは「処女規範の強さ」と「性交頻度」と「コンドーム使用率」についての関係性を調査したもので、非常に興味深いものだった。






簡単にいうと、処女規範が強い層ほど、性交頻度は少ないが、コンドーム使用率は低くなる。






解説すると、結婚前の性交は許されるべきものではないと考えるような処女規範が強い層ほど


性交に及んだ時点ですでに自主規範が崩れた(精神が不安定な)状態にあるため、


その先にあるコンドーム使用についても正常な判断が出来なくなる(どうでもよくなってしまう)という調査結果。






逆に性交自体には何のためらいもないような処女規範が弱い層ほど、


性交頻度は多いもののコンドーム使用率は高い傾向にある。






望まない妊娠やエイズを含む性感染症において、安全なのは後者。






補足として、「特定のパートナーとコンドームなしの性交をする」と


「不特定多数のパートナーとコンドームありの性交をする」を比べたときも、安全なのは後者である。














さて、ケニアの絶対的な『ABSTAIN』教育が招くその反動。






自分のこととして捉える機会を与えない性教育。






繰り返し叩き込まれる『ABSTAIN』教育が、


逆にコンドームを使用しない危険な性行動に拍車をかけていないといいのだけど・・。

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