2011年2月14日月曜日

Allowance。

今回企画したワークショップは、現在ケニアに19名いるエイズ対策隊員が一同に集まり
2人の特別講師をお招きして2日間かけて行った。


今から振り返っても、日本人だけなら相当楽に進んだであろうこのワークショップ。


しかし今回の大きな目玉は、
各隊員が自分の所属先からケニア人の同僚を1名選んで一緒に参加すること。


というわけで、日本では考えられないことが前日から続出の結果となった。

各隊員が連れてくるケニア人1名の選定基準というのは、
最終的に普段の活動で状況を把握している各隊員の独断である。


各隊員の目から見て、
・最も職場全体への影響力があり、波及効果が期待できる人。
自分の今後の活動にプラスになる人


そして、ワークショップのメインテーマが「Mindset Change」というだけあって、
・絶対に考えの変わらなさそうな人。
・どうしようもなく不真面目な人。
という基準も含まれていた。
というわけで、日本人とケニア人がペアになり合計40名程が参加した。

私が選んだパートナーは、HIVケアセンターの所長Ms.エディス(ナース・40代後半・女)。
どの項目とはいわないが、上記の選定基準に数多く重なる存在である。

今回、このエディスと私の間で起こった事柄をざっとリストにして振り返ってみたい。

・予定していた前日の夕方にエディスのホテルチェックインがされておらず連絡し続けるも音信不通。
・その3時間後に、「今日はホテルに行くことが不可能になりました。」と衝撃のSMSが届く。
・ようやく電話が繋がり午後10時にホテル前泊をドタキャン。
・当初から予定されていたかのごとくルートから完全に外れた遠回りになる娘の家に軽く一泊。
・当日の朝は、もちろん遅刻。
・交通費の請求時に娘の家に寄った分のレシートを平気で混ぜる。
・「チャイ(お茶)は、まだでないのか?」と、
 休憩時間に水だけしか供給されなかったことに深い疑問を抱き、怒りをあらわにする。
・早朝から移動したため非常に眠く、午後のセミナーが受けられないかもしれないと相談してくる。
・ホテルをキャンセルしたため食べられなかった朝食分を、夕飯分として食べたいとぬかす。
・Allowance(日当、手当)の額といつ支払いがされるのかをやたら知りたがり、ことあるごとに聞いてくる。
・Allowanceが一日目に出ないと知ると、「今晩何も食べることが出来ないから、お金をちょうだい」とほざく。
・思っていた以上にAllowanceの額が高かったのか、大喜びで超速攻帰る。

皆様、それでも私の顔は笑っていたのですよ。

ま、心ん中では日頃テコンドー部で練習に励んでいる、
回転後ろ跳び蹴りを
何度も脳天にくらわしてやろうかと思いましたがね、ええ。
そして、これは何も私のパートナーに限ったことではない。

程度の差はあれど、そこらじゅうで耳を疑うような発言や目を疑うような行動が蔓延していた2日間。
中間層と呼ばれる程の収入があり、かつ立派な大人であるはずのケニア人の貪欲さを、
存分に魅せつけられた2日間となった。
その貪欲さを、なぜ仕事に活かせぬか・・・。

パートナーが立ち去った後の、各隊員の安堵感といったらない。
どの隊員もまるで、
酔ったら何をしでかすかわからない親戚
を引き連れているような雰囲気で
終始、色んな担当者に謝りながら、気を遣いながらの2日間となった。

「わかる、わかる、その気持ち」
と、心の中で何度もつぶやいた。

どの隊員も顔にはホトケと呼ぶにふさわしい微笑を浮かべていた。
しかし、決して目は笑っていない。

これぞ、途上国の現場で培われた許容力。


ここで、私たちが理解に苦しむことのひとつにAllowanceがある。

ケニアでは資格向上のためのセミナーや今回のようなワークショップでは
食事もお茶も交通費も宿泊費も付いてくるのは当然のこととして、
そこに必ずAllowance(日当、手当)が手渡される。
仕事としてセミナーや出張ばかりいっている私のカウンターパートは、
その度にこのAllowanceを給料とは別にもらっている。

日本のように、参加者が自らのスキルアップのために
参加費や受講料を払って参加することはここでは考えられない。

主要機関で開催されるワークショップに参加するケニア人の多くは、
セミナーの内容そのものではなくこのAllowanceが目的である。
そのために参加の目的であるAllowanceをもらった瞬間に会場を去る参加者も多い。

ある国際機関がひとつの賭けとして、本当にやる気のある人材を集めるために
「Allowanceのないセミナー」をアフリカで開催したところ、
結局参加者は誰ひとり来なかったという前例も聞いたことがある。

今回このワークショップに運営委員として関わる中で、
予算を組む際、このAllowanceの有無が論点になった。
当初は「支払わない」方向だったのだが、各隊員の現場での経験を交えた結果、
最終的に「支払う」ことになった。

当初の「支払わない」ままであったら、どんな修羅場がラストシーンに加えられていたか・・・、
考えただけで恐ろしくなるほど、
ケニア人のモチベーションに直結するAllowanceについて重々知らされたワークショップだった。


2 件のコメント:

Kofi Jun さんのコメント...

いやぁ、なんだかよく分かる!と思わずひざを打ってしまったよ。
勉強したことが自分に還ってくるって発想がないよね…。
自分もワークショップを計画している中で、同じような考えの人たちにいら立ちというか、苦笑いをしてしまってます。
ま、戦うべき相手が大きすぎるからあきらめるしかないのかなとも思ったりするけど…。
また聞かせてください。
よかったらいざという時のため、竜巻旋風脚を伝授しようか。ヨガファイヤーでもいいよー。

MIHARU さんのコメント...

>Kofi Jun
コメントありがとう!

善意から寄付されたお金が、どれほどのセミナーのAllowanceによって消えているんだろう。
子供のため、病人のため、貧困層のために寄付されたお金が
使われるべきところにちゃんと使われることに難しさを感じるね。

でも、これって難しいことじゃないと思うんだけどな~。

今回のAllowanceについてはケニア人と戦うべきところではないと判断して
しっかり支払って、Workshopそのものに集中してもらうことを優先したけど
本当はその部分のMindset Change に挑んでみたかったのも事実。

企画や運営に関わると、色んな勉強ができますな(^^)
実におもしろいじゃないか。共に攻め続けようね。