さて、キリマンジャロ登山について。
毎年2~3人の死者がでるという山だということを事前に聞いていたが、
ただ何人中の2~3人なのかが分からない。
調べてみると年間の登山客数は約35,000人ということだった。
死なないわけではない山ということのようだけど、ま、とにかく油断は禁物ということで。
ここでは登山初心者の自分が振り返ってみて「へぇ~」と感じたものを書き記していくことにする。
登山ひとことメモ
1日目:ゲートで1時間以上待ってようやくスタートした。
呼吸法を意識するあまり空気を吸いすぎて呼吸が苦しい。
少し歩くペースが速いということなので明日から気をつけよう。
2日目:今日はクリスマスイブということで、みんなでサンタの帽子をかぶりプレゼント交換をした。
ポーターさんたちにも歌を歌ってもらいチキンを食べて大満足。
3日目:昨日に引き続きマリ隊員とエイズ予防啓発ダンスを踊った。
高山病で苦しむインド人に「君たちはなぜそんなに元気なのかね?」と、各々質問される。
4日目:植物のない砂漠地帯。
比較的楽な行程で早めにキャンプ地に入り、最終アタックに備える。
5日目:夜12時にキャンプ地を出発。新月の真っ暗闇のなか満天の星空は最高。
7時間かけて頂上にたどりつく。日の出を拝んで記念撮影。
その後、一気に駆け足で下山すること2時間。筋肉痛が半端ない。
6日目:3時間かけて下山して無事終了。
楽しみにしていた下山後のキリマンジャロビールがまずくてショック。
味覚がおかしくなっていることに気付く。
形成される大集団
まず、キリマンジャロ登山経験者から初めてその内容を教えてもらったとき、
「登山初心者」の私が最もびっくりしたのがそのグループの人数の多さである。
今回の私たちの場合、一緒に登った同期隊員6名に加えてガイド・サブガイド・コック・ウェイター・
ポーター(テントや食事などの機材・食糧、私たちの荷物を運んでくれる人たち)12名の合計18名の大集団で移動する。
ポーター(テントや食事などの機材・食糧、私たちの荷物を運んでくれる人たち)12名の合計18名の大集団で移動する。
ポーターたちは、ただただ、すごい。
常に私たちの先回りをして、キャンプ地にテントを張って食事の準備をしてくれるので、
その道中を共に歩くことはないが、多くの荷物を頭に載せて颯爽と登る姿には圧倒されるし、
その重労働はいくら大金を積まれても私にはできない過酷さだった。
その道中を共に歩くことはないが、多くの荷物を頭に載せて颯爽と登る姿には圧倒されるし、
その重労働はいくら大金を積まれても私にはできない過酷さだった。
実際ポーターに仕事について尋ねると、ガイドを夢見ていたり、好きでやっているのではなく
こんな重労働は出来ればしたくないという人のほうが多かった気がするが、
泥くささ満載でバカ騒ぎできるような男同志の青春をそこに感じた。
こんな重労働は出来ればしたくないという人のほうが多かった気がするが、
泥くささ満載でバカ騒ぎできるような男同志の青春をそこに感じた。
ルート
キリマンジャロにはいくつかの登山コースがある。
日本からのツアーで最も利用され、最も登山客が多いのが「マラングルート」。
これは別名コカコーラルートといわれていて、その所以は老若男女が飲めるコーラのようだからとか、
全日程、施設に宿泊することができコーラが販売できるほど整備されているルートだからといわれている。
完全に初心者である私の場合、迷わず「マラングルート」を選ぶべきところなのだが、
そこは周囲の流れにのっかり今回挑戦したのは「マチャメルート」。
それは別名ウィスキールートとよばれ、その名の通りツウが好むルートらしい。
6日間コースと7日間コースがあるが、すべてテント泊となる。
登山3日目ですでに富士山の高さを超えることを想像してもらうとその環境がいかに寒いかがわかっていただけると思う。
高地順応
この登山で問われるのは体力ではない。
崖や岩の多い箇所はあれど道中は比較的緩やかである。
よって登頂に成功するか否かは、高山病にかかるか否かということに大きく左右される。
そのため5日目の最終アタック(頂上に到達する)までは高度を上げたり下げたりを繰り返すことで
身体が高度に慣れていくように行程が組まれている。
今回の登山は高山病に効果があるといわれている薬ダイアモックスを服用したおかげか
高山病の症状が全く出なかったため、
私自身は一度上がってまた下るというこの行程に大いにじらされた。
高山病の症状が全く出なかったため、
私自身は一度上がってまた下るというこの行程に大いにじらされた。
3日目に一旦4,630m地点まで上がると頂上を間近にみることができる。
それなのに、高地順応のためそこから後ろ髪を引かれる思いで高度を下げなければならないときは、
早く頂上に行きたくてウズウズする。といった、登る前には全く想像できない心境になった。
それなのに、高地順応のためそこから後ろ髪を引かれる思いで高度を下げなければならないときは、
早く頂上に行きたくてウズウズする。といった、登る前には全く想像できない心境になった。
呼吸法
ケニア山の登山経験者4名と完全初心者2名からなる私たちのグループは、
知っている情報に忠実に従って登山を楽しんだ。
呼吸法をおろそかにすると3日目以降痛い目にあうと聞いていたためスタート時からみんなで呼吸法の習得に励む。
資料に書いてあった通りに忠実に息を吐きながら2歩、吸いながら2歩すすんでみる。
すると、普段無意識にしている呼吸に意識を向けすぎると非常に息苦しくなることがよくわかった。
高山病が起こる地点よりはるか低い地点で、
いうなればケニアで普段生活している任地(標高2000m)よりも高度の低い地点で、
慣れない呼吸法に執着しすぎて空気を吸い込みすぎたため軽く過呼吸状態に陥り苦しかった。
結局、普通に呼吸をする方が身体が楽だと気付いた1日目だった。
いうなればケニアで普段生活している任地(標高2000m)よりも高度の低い地点で、
慣れない呼吸法に執着しすぎて空気を吸い込みすぎたため軽く過呼吸状態に陥り苦しかった。
結局、普通に呼吸をする方が身体が楽だと気付いた1日目だった。
登山グッズ
アウトドアブランドの服は、日本にいたときから好きでよく着ていたが、
それらは登山に利用してこそその高性能が活かされるのだと実感した。
バックパックについているポケットや穴や多くの紐にはひとつひとつ意味があり、
見たことない便利な登山専用グッズを身につけている多くのベテランたちを山で見た。
何よりも私がうらやましかったのは給水ホース付きの水筒。
水分が肺の働きを助けることもあって登山では1日2~4リットルの給水が必要となる。
そのため私たちは合図を決めて毎15分ごとに給水をした。
背中に水を背負いながら手軽にホースから飲めるグッズの便利さはとてもうらやましかった。
あと、それに準じて回数の増える排尿も・・・。
登山グッズではないが、背を向けて立ったまま簡単に排尿できるホースも非常にうらやましかった。
女性の排尿は場所の確保からして非常に手間がかかる。
最終アタック
頂上で日の出をみるため3時間ほどの仮眠をとったあと夜12時にテント出発。
一番きついといわれる登頂アタックのスタート。
ペットボトルの水も凍る氷点下の中、ヘッドライトの明かりを頼りに一歩ずつ慎重に進んでいくこと7時間。
ペットボトルの水も凍る氷点下の中、ヘッドライトの明かりを頼りに一歩ずつ慎重に進んでいくこと7時間。
その日は新月だったため月明かりの全くない中、頭上には満天の星が果てなく広がるなか「天の川」がくっきりと浮かぶ。
それは、星の中を浮遊している錯覚に陥るほど素晴らしい景色だった。
それは、星の中を浮遊している錯覚に陥るほど素晴らしい景色だった。
たぶんこの先、これ以上の星空を見ることはないだろう。
しかし・・・・その頃、高山病の一種である極度の眠気に襲われていた仲間の一人の言動が
完全におかしくなり、途中星どころではなくなった。
幻覚をみているのか、夢を見ているのか、たまに倒れてきては意味不明なことをつぶやきたまに大声で叫ぶ。
目はかすかに開いている。
目はかすかに開いている。
頂上到着の直前で意識が戻ったその仲間は登ってきた6時間ほどの記憶がないらしい。
しかし、高度5895mで深く考え脳を使いすぎると酸素まで消費してしまうため
「ま、意識が戻ってよかったよかった」ということで誰も深く触れようとはせず、
氷一面の景色を眺めつつ頂上で記念撮影をした。
雨風もない晴天だったことも、全員の登頂成功を後押ししてくれた。
アフリカのてっぺんからアフリカ全土に向けてしっかりHIV予防啓発活動も行って、
1.5日かけて一気にキリマンジャロを駆け下りた。
1.5日かけて一気にキリマンジャロを駆け下りた。
そして登山後に体重を測ったら、なんと2.5キロ減。
この瞬間が最もうれしかったような気がした、キリマンジャロ登山への挑戦だった。
人生の最初で最後の登山と位置付けたい。
そして、カトゥーンリーダーはじめ、一緒に登ってくれたみんなには本当に感謝している。
山にも人にも存分に楽しめた一週間だった。
*PCの不調で写真がUPできません。また機会があれば・・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿