Translate

2012年3月2日金曜日

最終レポート。

数珠が切れた瞬間、本当に起こっていたのかもしれない。
その次の日の朝、立て続けにとてもうれしいメールが2通も届いていた。

メール①:病院に導入予定の患者管理システムをもっているFuturesGroup(アメリカの団体)から

現在ケニアの各病院のHIV/AIDSフィールドでは規模の大小を含めて19団体の作ったソフトが使用されている。
NASCOP(エイズ国家対策)としては、国として使用するソフトを統一するという動きになっていて
その結果が出るまでうちの病院に導入されるのは見送りの状態が続いていた。

・それがようやく3つに絞られ、それにFeuturesGroupの管理ソフトが認定されたこと。
・3月16日の会議を得てナイバシャの病院に導入後、その他の病院にも導入されていくこと。
その会議にはナイバシャのチームも同席してもらうこと。
・うちの病院に建設された大規模な女性専用クリニック内で、母子感染予防のための管理ソフトを導入することが決定したこと。
・ナイバシャへの導入を打診してくれたことへのお礼と、私が去った後の進捗状況もメールで共有してくれること。
が記されていた。

この管理ソフトの導入が軌道に乗れば、多くの患者データが整理されることになる。
そして、コンピューターによって様々なことが簡略化される反面、
瞬時に数値化されることによって今まで表に見えてこなかった多くの課題が浮き彫りになる。

そうなった時にそれに対応できるだけのものが、今の病院や県保健事務所にはない。
管理する病院と、それを監督する県保健事務所と、現場で働くスタッフと、地域で患者をサポートするコミュニティーヘルスワーカー同士をつなぐものがない。

そして、そんな事態をそれに関わっている多くの人々がとっくに気付いている。
今ある体制は書面上のもので、実際はその多くが機能していないこと。
実際に機能させる体制を作るには、多くの労力と根気を必要とすること。
もちろん私のカウンターパートを含める人々が。

カウンターパートは戦う相手ではない。いい負かしたところで、何も生まれない。
それは毎回のこういったやり取りの中で、最終的に行きつくところである。

カウンターパートだけではなく「便利になることは、逆に仕事を増やすことに繋がる」と捉える人々に
「新しいことはやりたくない。このままが一番楽。仕事を増やすな。」と面と向かっていってくる相手に、
戦う相手はこの人ではないから、といつも考えてきた。

その向こう側にいる充実した医療を受けられていない患者たちのために私は動くのだと言い聞かせてきた。
結局は、そこにしか自分のいる意味を見いだせないし、そこにこそ意味を見いだしたいという思いがある。


1週間前に出していたメールの返信をいいタイミングで受け取れた。

ちょうど、最後に配属先に提出するレポートを書いていた最中、この朗報のおかげでようやくまとめる内容が定まった。
いいレポートが書けそうである。







0 件のコメント: