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2011年3月17日木曜日

日本人魂。

今週は語学研修のためナイロビに1週間滞在している。

スワヒリ語と英語のどちらにするか自分で選択できる。


ケニア人は英語を話せるが、ケニア人同士の日常会話では全く使わない。

スワヒリ語に比べると、聞く機会のほとんどない英語。

しかし、学校へのHIV教育や上部機関の人々と対等に話すにはもっと詳細を表現できる英語が必要。

CPにしっかり思いを伝えるには英語が必要。

ただ仕事量を消化する活動ではなく、現地の人々の価値観を揺るがすものを残したい。

少しでも大きい影響力を持っている人と色んな目的を分かち合いたい。

そんな欲求が高まっている私が帰国まで1年間を残し選択した言語は、英語。



以前、スワヒリ語研修でお世話になった語学学校で、新しい先生に英語を習っている。

8時半から15時まで、とにかく自由に色んなトピックについて討論し続ける。

日本の政治から世界の動きまでとても詳しく知っている、物知りのジャスタス先生。

日本で起こった地震のこと、ケニアの教育制度、価値観、愛国心、恋愛事情、性欲解消術、HIV教育、それらの文化との関わりなど。

話せば話すほど、両国に浮かんでくる問題点に共通点が見つかる。

先進国も途上国も関係なく、どの国でも人間同士の繋がりに問題を抱える時代に突入したようだ。

何より話している内容に興味があることばかりで毎回白熱して討論している。

ブログに書き切れないことや書けないことがいっぱいある。

これが、ま~、かなり楽しい。


その中で、ジャスタス先生が私に質問した。

「あなたの2年間の活動の中で、ケニア人の価値観の何%を変えられると思っているか?」

私にとって、厳しい質問だった。

価値観なんて、そうそう変わらないと思っている。

というか、思ってしまっているのかもしれない。

と思い、ハッとした。


「今回の地震について、日本人のあなたがケニアに伝えるべきことは、

被災した人数の多さでも地震の津波の恐ろしさでもない。

それよりもっと大事なことは、この機会に日本の魂を伝えること。

この混沌とした状況の中でさえ、食べ物や水の略奪が起こらないこと。

被災地の住民同士の争いが起こらないこと。

それは、ケニアにいる私には信じられない状況なんだ。

なぜ、盗まないんだ?なぜ、強奪しないんだ?しかも、誰も。

これはケニア人なら、誰もがありえないと感じる出来事だ。

しかし、あなたの国「日本」は十数年前に起きた神戸の時もそうだったように、

人々は誰に言われるでもなく自らの意志で、色んな我慢の中で、

周囲の人々のことと次に起こることを予期して冷静に行動している。

こんな素晴らしい国民はいない。

是非、ケニア人たちに伝えて欲しい。

あなたが日本人として持っている価値観は、必ず彼らの価値観を変える手助けになる。」

普段、当たり前だと思っていることが、当たり前でないということがここにいると確かによくある。



先日行った生徒対象のワークショップで、

60年前に戦争で負けてから、戦後いかにして日本がここまで急速に発展したか?

それまでにどんな絶望があり、どんな決心があり、どんな努力があったか?

それらを支える精神力と人々の結束はいかなるものだったか?

自分が生まれるずっと前の日本の姿を、写真や言葉で聞いた話として伝えてきた。



これから先は、ケニア人だけでなく世界中が知っているこの東北地方太平洋沖地震から色んなことを伝えることが出来る。

私たちにとって当たり前の価値観を、今の私の実感として彼らに伝えることが出来る。

自分がそうであるように、人は全く異なるモノや想像できない出来事に出会ったとき、大きなショックや感動と共に一瞬にして価値観を覆されることがある。


「なぜ私たちが先進国と呼ばれる国にいて、あなたたちの国は途上国と呼ばれるままなのか。」

という問いかけを、行動を通して問い続けたい。

この先は、ケニア文化に溶け込むことよりも、その中に異彩を放ちながらでも、強烈なスタイルを見せ付けてやろうと、また心の中で誓った。


その時はもちろん、洗練された英語と共に・・・・。

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