帰国後ボランティア活動【異文化理解・国際協力・多文化共生 編】

▼学校対象

■滋賀県立彦根東高等学校 第1学年 進路講演会(360名)
(2012年/2013年/2014年/2015年/2016年度)
 テーマ『エイズを通して性と生を考える』

■滋賀県立彦根東高等学校 図書館ゼミ
(2013年/2014年/2015年/2016年度)
清水美春教授の国際協力入門』(学校HP)

▷私がみたケニア2010-2012(2013年5月23日実施)
▷ここから世界を感じ 世界から自分をみる(2014年5月22日実施)
▷図書館
から世界を感じ 世界から自分をみる(2015年5月27日実施)
▷図書館から世界を感じ 世界から自分をみる(2016年5月25日実施)

内容:ワークショップ(貿易ゲーム、コゲロ村ワーク、難民キャンプ中継、など)


<生徒の感想>

彦根東高校文芸部発行『窓』第71号掲載文より

「第二回国際協力入門講座」

 本年度第二回の図書館ゼミは、昨年同様清水美春教授の「国際協力入門講座」であった。

 数年前まで本校全日制で勤務され、二年にわたるケニアでの海外青年協力隊としての活動(エイズ教育担当)を経て、現在本校定時制におられる清水先生は、一年次でのエイズについての講演の印象が強烈だった。とかく退屈になりがちな講演だが、ケニアでの日々の紹介に聞き入ると、自分のいる世界の固定された単一な価値観がとても矮小に思われて、「なんでもあり」的なケニアの空気を吸ったような気分になり、現実に戻ったときにも今いるこの世界が結構新鮮に思われたのだ。話の中心はもちろんエイズだけど、人が生きている中で実際にどのように問題が起きていくのかが実に自然に納得できて、不思議な一時間だったのを覚えている。

今回の内容は、前年度と同じテーマでありながら、経済問題からのアプローチだった。

 私は現在三年文系の現代文で「ファンタジーワールドの誕生」(今福龍太桐原書店『探求現代文』所収)という評論を読んでいる。西欧人の未開の地(パプアニューギニア)への観光旅行をとらえた映像の紹介から始まるこの文章は、西欧と未開の地のつながりの変遷を、植民地時代から現在まで多角的にとらえ、プリミティブな文化に憧憬をいだく西欧人の内面を分析している。

 買い物と写真撮影に熱中し、カメラを防御の道具として被写体を脱文脈的に切り取り、値切ることで、文化的差異を経済的差異として読み替えようとする西欧人の様子を即物的に描いたこの映像は、まず今まで考えもしなかった「観光」に潜む構図に気づかされる。特に休日に部活動のため登校する通学路には、実に多くの観光客がいるのだが、彼らのしている「観光」も、これと一緒なのか?と考え始めると、ちょっと複雑な気分になる。

 ともあれ、筆者は、西欧の優位性の前提である未開の文化はもはや存在せず、シュミラクルな未開の地がファンタジーワールドとして創造され続けていると指摘している。

 今回の図書館ゼミでは、貿易ゲームに取り組んだ。

 貿易ゲームとは、五つのグループに分かれ、それを国として製品の製造楽を競い合うものだ。まず最初に各国に紙・型紙・はさみ・鉛筆・お金が配布される。それらは現実世界における資源・技術・工場・技術者・資本を抽象化したものである。

 このゲームの特徴は、最初に与えられる物資の初期状態が国によって異なっていることである。私の国では紙、すなわち資源が豊富にあったが、それ以外のモノがなかったために序盤では一つも製品を作ることができなかった。一方でA国は前述の五つの要素をすべて揃えて いたために大量にしかも高性能な製品を作ることが出来た。

 その他でも製品を買い取る機関が、国によって製品検査の精度を変えたり、三種類の製品の時価が変わるなど緻密な設定が組み込まれていたために、ゲームが非常に盛り上がった。

 このゲームを通して感じたのは、初期設定の悪い国、つまり後進国における経済活動の不利さだ。特に今回の場合、五グループに分かれていたのに、はさみの数が四つしかなかったことは非常に辛かった。さらに製品を売っていちはやく資産を手にしたA国はそれを元手に資 源を買い集めたりするなどして、一度生じた格差はなかなか埋まることがなかった。後進国が半永久的に後進国になる所以である。

 ゲームでは、最初に製品を作るのに時間がかかった私たちの国は、結局他国に何倍も差をつけられた。

 ゲームの後、清水先生を中心に、感想を始め気づいたことをいろいろ話し合った。紙を資源、はさみを技術と見立てれば、現在の先進国と後進国の抱える諸問題に対応するこのゲームでは本当に多くを気づかされた。大変な後進国に先進国がもっと献身的に援助しなければと思っていたが、前途多難だと気づいたという友人や、資金援助よりも技術指導=はさみを貸すことが必要なことに気づいたという友人がいて、そんな単純なことも簡単にはいかない国際問題を体感した。現代社会で習った厚生経済学とはこういうことだったんだと、一挙に納得できた。

 最後に時間が迫る中で清水先生が紹介された、二〇一二年国連持続可能な開発会議でのウルグアイのムヒカ大統領の「根本的な問題は私たちが実行した社会モデル。見直さねばならぬのは生活スタイル」という言葉が印象に残っている。

 評論にあるように、私たちも「未開の地」で経済的格差を文化的格差に置換して優位性を認識することがあると思う。でも今回のゲームのように、無意識のうちに優位先進的であることに気づかずにいることは避けたい。何の疑いもなく現在の生活が成立していると考えることも避けたい。

 また清水先生がおっしゃった「学ぶ義務」ということも考えたい。受験のための現代文や政治経済の向こうにあるものが垣間見られたひとときであった。(2014年6月24日発行)


■滋賀県立彦根東高等学校 2年5組 LHR
▷退屈なのは、世界か、自分か。(2013年1月17日実施)
 (日本の生徒からのメッセージボードにあつまるケニアの生徒たち)


■近江高等学校 第2学年総合コース

▷私がみたケニア 2010-2012(2013年6月11日実施)

 (内容:ここが変だよケニアの交通事情などなど)


■滋賀県立能登川高等学校 第1学年
(2016年/2017年度)

▷エイズを通して性と生を考える(2016年12月15日実施)
エイズを通して性と生を考える(2018年3月19日実施)
 ~自分の人生を生きるとは?~


<生徒の感想>


・自分がわからなくなったら、とにかく色々なものにふれる。なるほどと思いました。それと、なぜ人は何もかも効率化して時間を生み出そうとするのか。確かに僕もいつも時間がもっとほしい!と言っていたが、時間があったところで何となく過ごしているような気がしました。

・考え方は人それぞれで、違いも受け入れるものだとは思っていましたが、私の中ではそれはごく小さなコミュニティの中だけにすぎず、もっと広い世界に出たとき、自然と相手を否定してしまう気がして怖くなりました。もちろん相手には、相手の考えや事情、環境、習慣があって、私とちがうのは当たり前で、否定するのはいけないことだと頭では理解しているのですが、実際には受け入れきれない自分がいると思うので、ここから少しずつ自分の感覚をなおしていけたらいいなと思いました。

■滋賀県立玉川高等学校 第1学年
▷エイズを通して性と生を考える(2016年7月14日実施)


<生徒の感想>

・『苦しんでいる子供たち』のいる国の全貌をみたい。今回の講演を聞かせていただいて思ったことではあるが、「かわいそうな国」に実際に行ったことはなく、「そうか、かわいそうなのか」と、小銭を基金箱に入れているだけの私は途方もない勘違いをしていたのではないか。そんな国々に、いつか足を運ぶ機会をつくりたい。あとコンドーム大事。

・最初どんな話かと思っていたけど、真剣に性のことについて、HIVのことについて教えてくれてすごくためになりました。人と人との関わり方、関係性の話までしてくださって、しっかりそのことについて考えるきっかけとなりました。

・異性間、同性間に関係なく性的に接触をするとHIV感染する可能性があることを、今回の講演でハッキリと理解することができた。本当に愛があるのならば必要なとき以外はコンドームをつけHIV感染のリスクをなくすことが大事なのだと気づくことができました。


■滋賀県立虎姫高等学校 第2学年 国際理解講演会
(2015年/2016年)

▷私がみたケニア~いま、あなたと考えたいこと~(2015年5月21日実施)
▷私がみたケニア~いま、あなたと考えたいこと~(2016年5月19日実施)


<生徒の感想>

・僕は、日本人の先入観や自立主義的な考え(他人に迷惑をかけたくないという思考)が強いというのがとても印象に残りました。迷惑をかけないのが当たり前、自分のことは自分でやる。確かにそういうのも必要だと思います。でもこの講演会で学んだことは、迷惑はかけて良い、他人を頼れということです。僕は自分でもプライドが高い方だと思っていて、人に頼るのが苦手です。でもこれからはどんどん頼っていきたいと思います。

・一番心に残ったことは、ケニアの人生についての考え方です。自分も何が夢かが分からなくて、それ自体を探そうとしているけれど、目的、夢がなくても、今、与えられていることをただこなしていって、その先に見えるものもあるんではないかと思った。色々な国の人の考え方や捉え方を知り、触れ合うことで、正解というものはないけれど、それに代わる自分なりの正解が分かってくるのではないかと思った。今、自分がもっている知識や偏見は、想像や単純な知識からだけのものであり、意味をなさないので、直接触れ合って、直接自分で感じることが大事だと再確認しました。

・講演全体を通して、今まで私が抱いていたケニアに対する考えは一体何だったのだろう・・・と思いました。今は、自分が日本人であるから違和感があるのだろうとしか考えられません。けれど「日本人の考え方は一般的で他のものは少し変わっている」のではなく、「色々な考え方が世界中にある」ということを強く感じました。また、HIVの感染予防策は、セックスを禁止することで完璧だと思っていましたが、この考えも自分の中での偏った考えなのかと考えさせられました。一概にセックスをしてはならないとはいえないのかなと思いました。

・お世辞ではなく、今回の講演が今まで受けてきた中でNO.1に面白かったし、タメになったし、何より自分の心に響いたと思いました。ケニアについて、HIVについて、人生観について、展開の仕方がすごく、人を飽きさせないと感じたし、「ジャンボ」のスワヒリ語で生徒の心をつかむというパフォーマンス、コンドマスター君がまぁ印象的すぎて・・・。何より今回の講演では、「人生」についてどう考えるかという内容が自分にすごく安心感を与えてくれたと思いました。私はまだ、したいことも見つからず、進路も決まらず、将来について考えることが嫌になってきているので、たまに死について考えてみたりなんかしてます。でも最後の方に出てきた男性のような生き方をみて、「ああ、生きているのも悪くない」と感じたりしました。いろんな人生の価値観の中で、多様な生き方をしてもよいということでとても救われました。

■滋賀県立国際情報高等学校 国際GROBALコース

▷私がみたケニア~協力隊活動を通して 今 高校生に伝えたいこと(2013年3月11日実施)
▷私がみたケニア~協力隊活動を通して今あなたと考えたいこと(2017年3月10日実施)


▼学校以外の団体対象

■エデュコレ~多様な教育の博覧会~(大阪府立大学 i-siteなんば)
▷私がみた懐かしい未来~エイズ教育を通して感じたこと~(2014年8月24日実施)

■らいとぴあ夜間学校大学部(大阪府箕面市)

コンドームは世界を救う!?(2015年6月20日実施)

■イエナプラン協会オランダ支部 オンライン講座
▷ケニアでの活動内容と日本の性教育の現状(2019年8月11日実施)



2019年以降~現在の活動まとめについては下記リンク先へ







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